新曲「シナプスと虹」リリースしました(その1)
どうもAETA(イータ)です。
今年もこの季節がやってまいりましたね!
「鏡音リン・レン 11th Anniversary」!
今回は「シナプスと虹」という曲で参加させていただきました!
毎年この時期だと分かっているなら、計画的に曲を作って準備出来ればいいのですが…
作り置きとか出来ないタイプなんですよー。
一気にテンションあげてモチベーションと緊張感が持続した状態で完成までもっていかないと、迷いが生じたり飽きたりして集中力が途切れちゃうんですよね…
特にここ最近、仕事が忙しくてなかなか時間が取れなかったこともあるのですが、いよいよ締切日も差し迫り、流石に曲の方向性だけでも決めなきゃ間に合わないと内心焦る日々が続いてました。
で、DAWに向かって曲のモチーフを作っては見るものの、満足出来ずに捨ててはまた作り、そして捨てることを繰り返してたある日(締切3週間前)。
職場の窓にふと目をやると、雨上がり後の見事な虹が視界に飛び込んで来ました。
薄曇りの空から差し込む光、照らされて光る水面、裾野の山間から絵に描いたように見事なフォルムで半円状に伸びる虹。
そのことを後日に知り合いに話すと、当日スマフォで撮ったという虹の写真を見せてもらう機会がありまして。
建物の上空に広がる薄曇りの空、大きく弧を描く七色の色彩。
自分が見ていた景色を別の角度から見ていた人が写真という媒体を使って時間を切り取り、それを再び自分が見て記憶を蘇らせる…
ちょっと不思議な感覚に包まれました。
そのことがきっかけになったのかは定かで無いのですが、「久しぶりにシャッフル・ビートの曲でも作ってみようかな」ってことで、今回の曲のサビの原型が出来ました。
今思えば「h.u.m.a.n.i.t.y.」も梅雨の時期に作ったシャッフル曲だったので、自分の中で「雨=シャッフル」っていう感覚があるのかも。
幼い頃に慣れ親しんだ「あめふり」という童謡の「ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん♪」がDNAレベルで心に深く刷り込まれてるのかもしれませんね。
今回の曲のサビではコード進行的にもクリシェとマイナーコードの平行移動を上手く取り入れることで、聴いていて自然だけどよく聴くと面白いものが出来たかなと(自分でも自然すぎて転調してることに終盤まで気がついていなかった…)。
ちなみに曲を作るときの大半はサビから作ってます。
この方法だと曲が完成まで辿り着ける強度を持っているかどうか、早い時点で見極めが出来るんですよね。
サビの完成度が高いと気分も上がりますし、前後につながるパートもスムーズに引っ張り出せるのです。
今回はサビからAメロ、Bメロと作成し、オケの1番が完成したところでメロディを入れて…
とここで重要なことを思い出します(締切2周間前)。
「ジャケイラストどうしよう…!」
これも早い段階でお願い出来ればよいのですが、曲が完成する見通しが立たないとお時間を取っていただくことを考えれば安易にお願いするわけにもいかないのです。
(そもそも早くとりかかればよいのでは?というツッコミは受け付けます)
今回の曲調から考えると、温かみのあるタッチがいいなぁと思い、以前から気になっていた神崎キオさんにお声がけさせていただきました!
それにしても、お願いする絵師さんにデモを聴いていただくときってめちゃくちゃ緊張しますね!
自分としては曲を聴いていただいた上で、気に入らなければお断りしていただいても構わないというスタンスなのですが、逆の立場からすれば、まだ完成していないものを聴いて判断するのって難しいと思うんですよね。
短い期間でどこまで完成度を上げられるかが毎回最重要課題でして…
この時点ではまだ曲の1番のみで、たしかメロディもシンセ音というかなりラフな状態でのデモ音源でした。
ですが、ありがたいことにキオさんから快諾いただき、こちらもお願いした以上、後には退けない背水の陣で臨むことに。
アレンジって作曲での曲調に対する大喜利みたいなところがあると思うんですが、やっぱり追い込まれてるとアドレナリンが出るんでしょうか?そこからが早かったですねー。
1番から2番に入ったところでガラッと雰囲気を変えてみたり、ピアノのオブリガートやストリングス・アレンジにリズミックな変化を加えたり、曲の最後の盛り上がりに持っていくまでの仕掛けとか、自分の中でも驚くほど色んなアイデアを引っ張り出せたと思います。
ちなみに曲全体を通して肝となっているストリングスですが、こういうポップス系なら通常は小編成のストリングス音源を選ぶと思います。
例えば Native Instruments の Session Strings 2、Session Strings Pro 2(こっちはちょっと編成数多過ぎかなぁ…)とかでしょうね。
ただ、今回はメロディに対して裏の主旋律とも言うべき位置づけになっていたので、芯のあるサウンドで躍動感を出すために、メインのソロバイオリンを EastWest の Gypsy、バックで小編成感を出すのに Spitfire Audio の LABS Strings を重ねて使用しました。
Gypsy はデフォルトでリバーブがかなりかかってるので、一旦ドライに戻してから調整する必要があります。また、アーティキュレーションによっては暴れることが時々あるのですが、上手く使いこなせると生々しさが簡単に出せるので愛用してます。
LABS Strings は編成による左右の定位感が広めで、主張はさほど強くないものの、今回のような使い方には非常に合っていました(なんと無料!)。
こうやってオケが完成し、並行してメロディが決まったところで、今度は歌詞を作る作業に入っていったわけです。
と、今回はかなり長くなってしまったので一旦ここまで!(続く)